「日本では、なぜ質の高い活動が20年以上継続しているのか」
この秘密を知りたいと、2024年10月、スウェーデン・ストックホルム市立図書館 司書のMarie Renner(マリー・レネー)さんと、Ann-Kristin Droguett(アン・クリスティン・ドロゲット)さんが来日し、日本のブックスタートを視察しました。
スウェーデンでは政府資金を財源に、2014年からブックスタートを試験的に開始。現在は、
全国各地で0~3歳児を対象に各地の図書館や保健センターを会場としたり、家庭訪問の機会などを活用するなどして、絵本が入ったパックをプレゼントしています。マリーさんとアンさんが勤務するストックホルム市でもブックスタートを実施していますが、継続的な予算獲得は課題のひとつです。
活動の質を高め、事業の可能性を広げたい――。そんな思いを持ちつつ、10月4日、お二人は、4か月児健診でブックスタートを実施する、埼玉県三芳町を訪れました。
「1対1での実施にこだわっています!」
図書館でブックスタートを担当する西村めぐみさんの言葉の通り、三芳町では会場への誘導、読みきかせから見送りに至るまで、赤ちゃんと保護者一人ひとりに丁寧に向きあいながらブックスタートを行っています。
赤ちゃんや保護者、一人ひとりの様子を捉えながら、スタッフが明るい笑顔で言葉をかけていくと、健診で緊張気味だった親子の心もほぐれ、次第にリラックスした表情に。パパやママに抱かれる赤ちゃんのかわいらしさに、マリーさんとアンさんにも笑顔がこぼれます。赤ちゃんが絵本に夢中になる様子からも、三芳町が「1対1」にこだわる理由がよく分かったとのことでした。
「市民ボランティア」が放つメッセージ
もうひとつマリーさんとアンさんの心に残ったのは、活動を支える「ボランティア」の存在です。お二人が勤務する図書館では、現在、図書館員のみでブックスタートを実施しています。
「ボランティアさんの存在は、この町が、あなたや赤ちゃんを歓迎していますよ、と伝えるメッセージにもなっているように感じました。私たちの町でも、高齢者にボランティアとして活動に関わってもらうことができるかもしれません」
ブックスタートに人と人の「つながり」を生み出す可能性をも感じたお二人は、この学びをストックホルム市の活動に活かそうと、視察を通じ見聞きしたこと、感じたことなどを、何枚もにわたるレポートにまとめたそうです。
マリーさんとアンさんからは、ストックホルム市のブックスタートや図書館サービスについてもたくさんお話を伺いました。詳細は、別途ご報告します!