7月末、栃木県野木町の活動を見学しました。
印象的だったのは、「一歩ずつですよ」と話してくれた、ボランティアさんの決意のこもった言葉。今回は、「すべての赤ちゃんに本来のブックスタートを」と願う皆さんの、コロナ禍を経た変化についてお伝えします。
4か月児健診でブックスタートを実施している、栃木県野木町。
コロナの影響で休止していた読みきかせを、2021年4月には再開しました。
感染予防を徹底しつつ、絵本を読んでもらう心地よさを親子に届けようと、図書館員さんと保健師さん、そしてボランティアの皆さんが、知恵を出し合い、よりよい方法を模索しています。
★これまでの野木町でのコロナ対応はこちら
昨年度までは、スタッフと親子の間にアクリル板を置いて読みきかせを行っていました。
仕切りがあることでスタッフも保護者も安心して参加できた一方、スタッフからは「話が聞こえづらいようだ」との声も。
赤ちゃんは思った以上に絵本をよく見てくれましたが、保護者との会話は途切れることも多く、苦労されたそうです。
そのため、2023年5月にコロナが5類へ移行したことを機に アクリル板を廃止。
現在は、少し距離を取って座り、仕切りなしで読みきかせを行えるようになりました。
「以前のように絵本をぐっと近づけてあげられるようになったので、赤ちゃんがとってもよく見てくれるんですよ」
と嬉しそうに話すボランティアさん。
自分の目の前で絵本をひらいてもらった赤ちゃんは、不思議そうに絵を見つめたり、ちょこんと絵本に触れてみたりと、思い思いに楽しんでいました。
そんな様子を見た保護者は、
「こんなに見てくれるなんて驚きました。読みきかせをやりたいなと思っていたので、もらった絵本を早速使ってみます」
と話していました。
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赤ちゃんの様子を保護者に見てもらい、楽しい絵本の時間を体験してもらうこと。
それが、家庭で絵本を読む具体的なきっかけとなっています。
以前はブックスタートの前にわらべうたを歌い、親子がゆったり過ごせる場を丁寧につくっていた野木町。これまで大切に続けてきた本来のブックスタートを、一歩ずつ着実に取り戻しています。