NPOブックスタート Bookstart Japan

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松居直と「ブックスタート」

「赤ちゃんにとって絵本は、わらべ唄や子守唄のようなものです。」

福音館書店相談役であり当NPO会長の松居直が2022年11月2日に永眠いたしました。
児童書の編集者として数多くのロングセラー絵本を生み出してきた松居は、2000年に「子ども読書年推進会議」の副代表を務めるなかで、ブックスタートと出会いました。それ以降、活動の立ち上げに携わり、NPOブックスタートが設立されると理事長に就任し、組織の運営に関わってきました。当時松居は「赤ちゃんに絵本がわかるのですか?」という問いに、冒頭のように答えています。

赤ちゃんは語りかけられた言葉を全身で受け止める――。
言葉を越えた気持ちの通いあいは、子どもの育ちにおいて、さらには人間が生きていく上で、欠かすことのできないものになる――。
松居はそこに赤ちゃんと絵本をひらくことの本質的な意味があると考えました。

日本でのブックスタート事業開始にあたり、松居は次のように語っています。

「『ブックスタート』は、絵本を普及するための活動ではありません。言葉の世界そのものである絵本に、『お幸せに!』という思いと言葉を添えて手渡し、共に生きることを願うものです。子どもの人生の出発点に“歓びを共にする”という経験を贈ること。ブックスタートは、これからの時代においても、そのことに力を尽くさなくてはならないと思っています。」

ブックスタートの理念を構築する際に、こうした松居の考えが加わることによって、私たちは活動をさらに広く深い視点から捉えることができました。そして日本での事業開始から20余年が経過した今、ブックスタートの理念は各地での活動の実践を通してさらに深まりをみせています。

<松居に関する書籍>
『絵本は心のへその緒 赤ちゃんに語りかけるということ』 松居直 著

『父の話をしましょうか~加古さんと松居さん~』 鈴木万里(加古里子 長女)小風さち(松居直 長女)

<松居がブックスタートに寄せた言葉>
当NPOウェブサイト 組織概要「ブックスタートに寄せて」