毎年、「とても有意義な研修でした」「ぜひ次回も参加したいです」といった感想をいただく研修会。その様子を多くの方にお伝えしたい!という思いで始まった、研修会の開催報告は、書き進めていくうちに、6回の連載になっていました。
最終回となる今回の報告は、2019年6月25日広島会場での、広島県府中市の事例紹介です。
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府中市からは、子育て支援センター長の正畑光代さんが登壇。
関係機関との連携を密にするための会議の様子や、健診未受診者に対し、訪問支援事業の一環として絵本を手渡している様子などについてお話しくださいました。
発表する正畑さん
関係者どうしで顔を合わせる機会を定期的に設定
ブックスタートには、事務局となる子育て支援センターのほか、女性こども課、健康推進課、図書館、社会福祉協議会、主任児童委員※が連携して実施しています。事業の立ち上げ当時から、行政が自覚と責任を持ち、関係機関との連携を進めてきました。
具体的には、関係者どうしが集まる会議を年1回開催。配付する絵本の選書や近況報告を行っています。何よりも、みんなが直接顔を合わせ、言葉を交わすことを大切にしているそうです。
「活動する上で、難しいことはありませんか?」「気になる事例はないですか?」と関係者に声をかけながら、ちょっとした気づきにも丁寧に耳を傾け、より良い事業にするための糧としています。
※厚生労働大臣から委託され、赤ちゃんからお年寄りまでの相談・援助や、社会福祉の増進に努める民生委員・児童委員のうち、児童福祉に関することを専門に担当する人。
主任児童委員が真心を添えて絵本をプレゼント
ブックスタートでは、主任児童委員が絵本の読みきかせを行います。また、連絡先が書かれた資料を手渡しながら「困ったことがあったら何でも相談してね」と声をかけます。
忙しい毎日の中で子育てに不安を抱える保護者も、ブックスタートを受けた後は、穏やかな表情で帰っていきます。そんな時間がつくれるのも、プレゼントする絵本に真心を添える、主任児童委員のお陰だと感じているそうです。
発表スライドより
すべての親子に出会うために
ブックスタートの実施機会である4か月児健診に来なかった親子に対しては、健康推進課の保健師と連携し、訪問支援事業に切り替えて対応します。訪問には子育て支援センターの保育士も同行。「絵本のプレゼントを持ってきたよ」「身長体重を測ってみようか」「何か心配事はない?」と声をかけ、きめ細かい支援を行っています。
府中市では、地域に暮らす多くの方々の力に支えられながら、事業を継続してきました。今まで変わらぬ思いをつないでくれた関係者への感謝を忘れずに、ブックスタートをはじめとする様々な子育て支援事業を充実させていきたいとお話しくださいました。
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尾道市と府中市の充実した取り組みに、参加者の皆さんも聞き入っていました。多くの人たちの思いがつながることで、事業が地域に根ざし深まっていくのだと、私たちも改めて感じました。
広島会場の参加者の皆さん
2019年度の研修会も好評のうちに終了しました。参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました!
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▼開催報告「ブックスタート研修会2019」その他の回を読む
1. 講演 スギヤマカナヨさん
2. ワークショップ
3. 事例紹介 鹿児島県霧島市
4. 事例紹介 宮崎県小林市
5. 事例紹介 広島県尾道市
6. 事例紹介 広島県府中市 ※本稿