2020年10月8日、愛知県西尾市にボランティアさんの研修でお伺いしました。
2011年に西尾市、幡豆町、一色町、吉良町が合併して誕生した現在の西尾市。旧3町で行っていたブックスタートは、合併と同時に全域に拡大しました。ちなみに旧幡豆町は2001年4月に日本で最初にブックスタート事業を開始した、12市町村の一つです。
旧幡豆町での実施から通算すると、西尾市のブックスタートは今年で20年目。 新型コロナウイルスによる影響で、西尾市では現在、ボランティアによるブックスタートでの読みきかせは休止していますが、状況が落ち着き次第、再開できるよう、新たにボランティアとして活動してくださる方を募集。応募された11名の方が研修会に参加されました。
NPOブックスタートからは、ブックスタートがイギリスで発案された時のエピソードや、地域の事例などについて紹介。研修のおわりには、「初心に立ち返ることを大切にしたい」との思いから参加されていた、旧幡豆町時代から活動しているお二人のボランティアさんが、次のようにお話しくださいました。
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「‟読んでね” ではなく、‟楽しんでね” と伝えている、という地域の事例がありました。活動を長く続けていると、こうした大切なことを忘れがち。研修には毎回参加しているので、内容的には知っていることがほとんどなのですが、改めて気付くこともあり、話を聞けてよかったです。」
「親子への対応は、5分ほどの短い時間ではありますが、その分、とても奥が深い活動だな、と感じています。というのは、私たちには何気ない言葉でも、ママたちにとっては、そうでない場合もあるのです。例えば、‟初めてのお子さんですか?” という質問は、様々な事情で答えづらい方もいらっしゃるので、‟ブックスタートは初めてですか?” とお聞きするようにしています。すると、‟上の子の時には、〇〇市で受けました” といったことを話してくださる方もいて、対応の参考となることも多いのです。」
「新たにボランティア仲間が増えることは、このまちに、赤ちゃんをやさしく見守る人の輪が広がっていくということ。さらには、これまで活動をしてきた私たちにとっても、良い刺激になり、とても嬉しいことです。私も、体が動き、声が出る限り、このボランティアを続けていきたいです。」
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20年間、赤ちゃんとその保護者を、一組一組、あたたかく迎えてこられたお二人の言葉は、その場にいたすべての人の心に、深く響くものがあったように感じます。
新たな仲間を迎え、21年目に向かって動き出した西尾市のブックスタート。大切に積み上げてきたノウハウや、事業に関わられた多くの方々の思いを引き継ぎながら、これからも、息長く続いていくことと思います。