2014年7月14日(月)、愛知県・名古屋市青少年文化センターにて、NPOブックスタート主催「子ども・社会を考える」講演会シリーズ第2回『赤ちゃん~ゆりかごの中の科学者~』を開催しました。梅雨明けが待ち遠しく感じられる蒸し暑い陽気の中、愛知県や、近隣の岐阜県、静岡県、三重県を中心に、各地域で読みきかせや子育て支援、母子保健に携わっているボランティアや行政職員など、たくさんの方がご参加くださいました。
講師は、お茶の水女子大学大学院教授(肩書は当時)で小児科医の榊原洋一さん。赤ちゃんがもつ能力や発達について、たっぷりとお話いただきました。
赤ちゃんが生まれてから1年は、一生で一番成長が早く、体重は約3倍になります。また、その1年の間に赤ちゃんは、立って歩けるようになり、手を使えるようになり、言葉を獲得します。つまり赤ちゃんは、「人」としての特徴も生後約1年の間に獲得するのです。
さらに、赤ちゃんにはこの世界や人、自分自身や言語を理解するための機能が生まれながらに備わっているといいます。例えば、「近くのものは大きく、遠くのものは小さく見える」といったことや物事には因果関係があるということを、赤ちゃんは理解しているというのですから、驚きです。講演では、こうした私達が「知っているようで知らない」赤ちゃんのことについて、具体的な研究事例をもとに、ユーモアを交えながら、楽しく話してくださいました。
会場には時折笑い声が響き、終始和やかな雰囲気でしたが、話を楽しみつつ熱心にメモを取る方が多くいました。
講演の最後、各地域でブックスタートや子育て支援に関わる皆さんに向けて、榊原さんよりメッセージをいただきました。
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子どもは大人になり、やがて社会の中で生きていきます。人間という“社会性”をもつ動物にとって、“子育てを支援していく”ことは、さまざまな人が、子どもと関わりをもつという意味においても、極めて大事なことであると思います。
皆さんが、地域で子ども達に絵本の読みきかせをなさる時には、読書につなげたいとか、言葉を獲得させたいといった期待をするかもしれません。でもこうした場は、子どもにとって、親以外の大人と顔をあわせる機会でもあります。
子どもは、お話に耳を傾けながら、“この人はどう思っているのかな?”と大人の顔(表情)を見ています。人によって、様々な絵本の読み方や話し方があることを経験することもできます。絵本の読みきかせに限ったことではありませんが、子どもにとって、様々な人と関わる場が作られていくということは、非常に意味があることなのです。
「みんなで子どもを支えていく」
そのこと自体が、子どもに様々な副次的効果をもたらします。是非、これからも多くの人に子育てに関わっていただきたいです。
そして、「社会全体で子育てをするんだ」というメッセージを、皆さんからもどんどん発信していただきたいと思います。
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本講演の講演録を刊行しています。詳しくはこちらからどうぞ。