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「みんなちがって、みんないい。」M.Hさん/寄稿 絵本のひととき

1歳7か月になる娘は、すっかり絵本が大好き。朝起きてすぐに、「む!む!(読む!)」と言いながら、寝ている大人の顔に、本を押し付けてきます。眠いので、目を閉じたままそらんじていると、それでは気に入らないようで、目に指をつっこんできます。子どもとの絵本の時間は、時にバトル。いえ、楽しいですけど。

最近のお気に入りは、『てのひらむかしばなし  いっすんぼうし』(作: 長谷川摂子 絵:新井良二/岩波書店)。特に鬼が面白いようで、「に!に!(おに!)」と言って、鬼のページまで早くめくれとせがみます。この本は、夫と娘で本屋に行ったときに買ってきた、荒井良二さんのアバンギャルドな絵のもの。最初は、もっと伝統的な絵がよかったなあ…と思ったのですが、味のある文章と奥の深い絵に、私もすっかりファンになりました。「こんな絵本を読ませたい!」という固定観念に、知らず知らずのうちにとらわれていたのかな、と反省したものです。

その他にも、おさがりの『3ばのちびのひよこ』、いただきものの『おならうた』、はては雑誌の『ナショナルジオグラフィック』まで、意外な本に興味を持ちます。これがいい!と決めつけずに、何でも読もうと思うようになりました。また夫や祖父母だけでなく、色々な人に本を読んでもらう機会が増え、それも楽しいようです。人によって力の入れどころが違うので、「なんか少し違うんだけど…」という顔をしながらも、真剣に聞いています。

絵本を通して、「みんな違って、みんないいんだ」ということに、こちらが気づかされるような気がします。子どもはもちろん、大人も、みんなそれぞれ違っていいんだなと。娘も、そんな多様性を楽しめる人になってくれたら…というのは、こちらの願望に過ぎませんが。

夜寝る前の絵本の時間も毎日のこと。時には「まんが日本昔ばなし」風に読むなどと決めて世界に入り込んでいると、子どもは寝ている…なんてことも。子どもだけでなく、大人の精神衛生上もいいと思います、絵本。

※本稿はブックスタートニュースレター35号へのご寄稿を転載したものです。