NPOブックスタート Bookstart Japan

自治体の方へ

[報告] 担当者オンライン会議~ボランティアとの協働について

2025年2月26日、「第2回 ブックスタート担当者 オンライン会議」を開催しました。
担当者同士の情報交換の場として企画したもので、北は北海道、南は沖縄県まで全国30自治体から33名の参加がありました。

▽前回(第1回)の記録はこちら
[報告]担当者オンライン会議~赤ちゃんに手渡す絵本について考えよう

テーマは、「ボランティアとの協働」。
親子一組一組に丁寧に対応し、地域全体で子育てを応援していることを伝えていく上で、ボランティアは大切な存在です。しかしながら、「なかなか人が集まらない」「もっと主体的に活動してもらうにはどうすればよい?」など課題を感じている地域も少なくありません。

今回は、静岡県袋井市による事例紹介やグループでの意見交換を通して、ボランティアの人材確保、研修・育成、体制・運営について、自治体の垣根を越えてともに考えました。

* * * * *

はじめに、ボランティアと協働して充実した事業を実施している静岡県袋井市から事例を紹介いただきました。

● 事例紹介 ●
「ボランティア・保健センターとともに」
(静岡県袋井市生涯学習課 袋井市立図書館 白井啓子さん)

袋井市では、7か月児相談でブックスタートを行っています。
月2回行われる活動には、毎回、図書館職員2名、ボランティア4名の計6名が従事しています。

ブックスタートでは、親子で絵本をひらく楽しさを体感してもらえるよう、一組ずつ趣旨を説明し、絵本の読みきかせを行っています。誰が対応しても同じ内容を伝えられるよう、スタッフ用のシナリオを作成しています。

ボランティア募集チラシを作成。講座も開催
現在ボランティアは11名。持続的に事業を実施していくためには、新しい方に加わっていただくことが不可欠だと考えています。また、現在活動している方にとってよい刺激となり、資質向上にもつながります。
ボランティア募集のチラシは、館内に置いたり、イベントなどで配付したりしています。また、2023年度には「初めての読み聞かせボランティア講座」(全4回)を開催。関心のありそうな方に声をかけるなどして、人材確保に努めました。

保健師を研修会講師に

既存ボランティアのステップアップや活動の充実を目的に、毎年度、研修会や意見交換会などを実施しています。
2024年度は「ブックスタートは、ボランティア・保健センター・図書館協働の取り組みです!」をテーマに研修会を開催。7か月児相談を担当する保健師に、0~2歳児の発達や親子に接する際の注意点などについて講義してもらいました。
保健師の講義は分かりやすく、質問に対しても専門的な立場から的確なアドバイスをもらうこともできました。また、保健師にボランティアのことをよく知ってもらう機会にもなり、袋井市に暮らす親子のために「共に協力する仲間」という認識が深まったように思います。

※こちらもご覧ください。
[静岡県袋井市] 保健師によるボランティア研修で連携強化 – ブックスタート

ボランティア、保健センター、図書館の「三位一体」で親子を支える
立場や役割は違えど、ボランティアや保健師、図書館職員は、子どもの健やかな成長、親子の幸せを願っています。だからこそ、三位一体になって親子を支えていきたく思っています。
そのためには、
・ ボランティアさんに長く活動していただけるよう、コミュニケーションを密にし、誠意をもって丁寧に接すること
・ 読みきかせボランティア講座を定期的に実施すること
・ ボランティア同士の交流の場を作ること
が大切であると考えています。
地道ではありますが、一歩一歩積み重ねていきたいと思います。

続いてグループに分かれ、各自治体の状況や課題、工夫について話し合いました。

● 意見交換 ●
人材確保
「ボランティアが高齢化しているが、後継者が見つからない」「人数が少ない」といった課題に対し、関連する講座の参加者や様々な団体・人に声かけをしたり、応募しやすい工夫をしている事例などが共有されました。
<あげられた事例>
・ 学校で読みきかせをしている人向けの講座参加者(保護者世代)が、ボランティアになってくれるケースがある。
・ 大学生にボランティアに入ってもらっている。
・ 民生委員・児童委員、主任児童委員に協力してもらっている。
・ 赤ちゃんと楽しくふれあえるなど、魅力を伝えていくとよい。
・ 活動を目にする機会があると、イメージがわきやすい。

研修/育成
他部署の職員や外部講師を招いたり、実習や見学を導入することにより、ボランティアが安心して活動できる環境を整えている事例などが紹介されました。
<あげられた事例>
・ 保健師に親子への接遇に関する研修を依頼。傾聴・共感が大切であることや、日頃の活動で配慮すべきことについて話してもらった。
・ 新規ボランティア向けに全3回講座を実施。第1回目は、0歳児にとっての絵本の意味や赤ちゃん絵本の特徴、保護者に接する際の留意点について外部講師に講義をしてもらった。外部講師に依頼したのは、客観的な立場から話してもらうことで、説得力が増すため。第2~3回目は、図書館職員による活動説明のほか、実習・見学を行った。

運営/体制づくり
ボランティアとのコミュニケーションを大事にし、注意すべき事柄の伝え方や、充実した活動を継続できるための体制づくりについても工夫している自治体がありました。また、職員とボランティアとの役割分担、連絡体制などに関しても情報交換がされました。
<あげられた事例>
・ 職員がボランティアと積極的にコミュニケーションをとり、要望をくみ取るようにしている。
・ 仲間ができることが継続のモチベーションになるため、ボランティア同士で交流できる場を積極的に設けるようにしている。
・ 赤ちゃんの抱っこなどについては、“他者にふれられることを気にする人もいる”と保護者の受け止め方を伝え、配慮が必要であることを共有した。

* * * * *

次回会議については、詳細が決まり次第お知らせします。
ご希望のテーマなどございましたら、当NPOまでお知らせください!