NPOブックスタート Bookstart Japan

自治体の方へ

[千葉県鎌ケ谷市] 理念と思いを共有する研修会

「コロナ禍から3年経ち、本来のブックスタートを知る関係者がいなくなってしまったので、改めて基本を確認したい」
「ボランティアを新しく募集したため、関わる人全員で理念を共有したい」

こうした研修会のご依頼が、このところ多数寄せられています。

2004年にブックスタート事業を開始し、今年で20周年を迎える千葉県鎌ケ谷市も、昨年の秋に新規ボランティア向けの研修会を開催しました。研修の内容を、参加したボランティアや事務局担当者の声とともに紹介します。


鎌ケ谷市のブックスタートの様子(2023年12月)

開催背景
・コロナ禍で休止していた親子一組ずつへの読みきかせを2023年度より再開
・活動再開にあたり、3年ぶりに新規ボランティアを募集
・目的や理念を共有し、活動の基本を確かめるため、研修会を企画

プログラム
・健康増進課(事務局)課長あいさつ
・鎌ケ谷市のブックスタートについて/担当者より
・ブックスタートとは?/NPOブックスタート(30分)
・デモンストレーション/リーダーボランティア(15分)
・ボランティアとして大切にしていること/リーダーボランティア(10分)
・交流会、読みきかせとわらべうたの実践

先輩ボランティアの言葉で、活動への思いを伝える
鎌ケ谷市では、32名のボランティアが活動に携わっています。そして、リーダー4名が取りまとめ役を担っています。
研修会では、活動で大切にしていることや思いをリーダーボランティアの言葉で伝えています。

◇リーダーボランティア 山田 貴子さん
「一組一組の親子に向けて丁寧にブックスタートをやっている、というのが鎌ケ谷のいいところだと思います。保護者の中には、『読まなきゃ』と構えている人も多いです。ですから、会場では“share books(シェアブックス)”という言葉を使って、絵本は赤ちゃんと一緒に楽しむものなんだよ、ということを、特に大切に伝えているんですよ」

新規ボランティアは、今後、わらべうたや赤ちゃんへの読みきかせなど、段階的に役割を担っていきます。「少しずつやっていくので、大丈夫ですよ」という先輩の言葉に、皆さんホッとした表情で頷いていました。

保健師の理解は、ボランティアの活動を見ることから
鎌ヶ谷市のブックスタートは、健診増進課が中心となって運営しています。保健師のみなさんの事業への深い理解は、ボランティアの皆さんの姿を見ることから深まっているといいます。

◇保健師 永井 江梨花さん
「私は、正直なところ、最初からこの事業の必要性を理解していたわけではありませんでした。どうして保健センターが絵本を渡すんだろう、と不思議だったのです。でも、会場でボランティアさんが親子と関わる様子をたくさん見るうちに、徐々に、親子に“何が必要なのか”がわかるようになったのです。今は、ブックスタートにはその必要なものがつまっていると実感できるようになりました」

◇課長補佐 林 恵利さん
「保健師は、親子の愛着形成や赤ちゃんの発達について専門的に学んできています。でも、絵本というものが、そのことにどんなふうに役立つのか、ピンポイントには学んでいません。ですから、実際に赤ちゃんが絵本を読んでもらって楽しんでいる様子を見たり、ボランティアさんが伝えているメッセージを聞いたりする中で、はじめて、自分が学んできたことと、保健師という仕事、そして、ブックスタートという事業の意味とが、ひとつの線でつながるのだと思います。そういう意味でも、ボランティアさんの存在は非常に大きいです」

保健師さんの言葉をうけ、ボランティアさんはこう語ります。

◇リーダーボランティア 濱口 貞美さん
「鎌ケ谷市のブックスタートは、行政と市民が立ち上げの頃から連携し、一緒に作り上げてきました。しかも、行政担当者が変わっても、そういう姿勢がちゃんと受け継がれているんです。それは、鎌ケ谷にとって大切な事業だと受け止められているからだと思います。
研修会や、活動後のミーティングの場で思いを共有したり、何を大切にしていくべきかということを話しあったりする雰囲気が、ボランティア同士にも、ボランティアと保健師さんの間にもあります。それが、鎌ケ谷のすごいところだと思います」

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鎌ケ谷市の皆さんの言葉から、研修の場をもつことが「みんなで心をひとつに活動しよう!」という思いを確かにする機会になっているのだと感じました。

◆研修にNPOブックスタート職員を派遣します!
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