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[滋賀県長浜市] 保健師向け講座で改めて思いを一つに/コロナに負けない!19

滋賀県の東北部に位置する長浜市。
2004年にブックスタート事業を開始し、4か月児健診で親子に絵本を手渡しています。
2006年には2町と、2010年には6町との合併を経験し、そのたびに事務局である図書館員と健康推進課の保健師が話し合いを重ね、途切れることなく事業を継続してきました。そして、ボランティアの協力も得て、親子一組ずつ丁寧に読みきかせをして絵本を手渡していました。

しかし、この2年間は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、健診の時間短縮が必要となり、読みきかせは休止。図書館員・ボランティアがセット組みをしたブックスタート・パックを、保健師が親子に手渡しています。

「この状況下でも、もう少し良い形で実施できないだろうか?」パックを手渡すだけの現状に、図書館員・保健師双方にそんな思いが募っていきました。そこで企画したのが図書館員による保健師向け出前講座「ブックスタートについて学ぶ職員研修」です。パックを手渡す保健師に事業をより深く理解してもらうことで、充実を図るのが目的です。

講座には健康推進課をはじめ、健康づくりに関する施策立案を担当する健康企画課やコロナウイルスワクチン接種推進室の職員も参加。約60名が会場やオンラインで講座を受講しました。

講師を務めたのは、長浜図書館 館長の下司満里子さん。ブックスタート事業には、かつて現場の職員として立ち上げに携わっていました。
講座では、事業の概要だけでなく、図書館が子育て支援を行う意味についても伝えました。「読書は本来個人の営みであり、生きることへの気持ちに少し余白がないとできないものだと思います。子どもの育ちを支えずして、読書支援は成り立ちません。そもそも、読書を推進する目的は子どもの幸せのため、親子の良好な関係を築くためです。ブックスタートが親子の幸せなひとときのきっかけであってほしいと思っています」

講座のレジュメ

また、「タテ割り」と言われる行政の中で、ブックスタートではいかに健康推進課と図書館が「ヨコ連携」してきたのか、コロナ禍で孤立しがちな人が増えている今だからこそ、市民に対して行政の「顔」が見える関係を築くことが大切であり、どうにかして読みきかせの「体験」を届けたいと考えていることも伝えました。

参加した保健師からは、読みきかせに関する質問だけでなく「パックを渡すと保護者にとても喜ばれます。準備しているのは図書館とボランティアさんなのに、私たちばかりが感謝されて申し訳ない気持ちです。親子で絵本を読んで欲しいと思うので、もっと図書館を案内してもいいですか?」といった質問もあったそうです。

これまでも、図書館、健康推進課の担当者どうしでの話し合いは重ねていましたが、今回の講座は事業立ち上げ以来18年ぶりに保健師全員に話をする機会となりました。下司さんはブックスタートについて知ってもらうことの大切さを再認識するとともに、保健師が親子を図書館につなげる存在になろうとしてくれていることを強く感じたといいます。

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長浜市では、この講座を経て保健師の理解が深まったことで、読みきかせ再開の検討を開始しました。図書館員やボランティアが、以前のように親子に接することができる日もそう遠くないかもしれません。

ブックスタート紹介動画で、長浜市のブックスタートの様子(コロナ禍前)をご覧いただけます。