市民と行政が力を合わせブックスタート事業を実施している伊万里市。ニュースレター (78号 2022秋)で取り組みをご紹介しています。
今回は、取材の際に伺ったボランティアさんの思いをお伝えします。
*****
「パパやママはみんな子育てに一生懸命ですよね。だから、ちょっとしたお手伝いができればと思い、先輩ママとしてボランティアをしてきました。でも気がついたら、いつのまにか先輩ママじゃなくてバァバになっていて、自分でもビックリしています」
と笑いながら話すのは、持永由美子さんと北川香栄さん。
おふたりは、伊万里市で事業が開始した2004年から、ブックスタートのボランティアとして活動しています。
「田舎だから、両親だけでなく祖父母も付き添って来ることが少なくないんです。参加されていたおばあちゃんが、“読むのは、わたしでもよかとですか?”と心配されていたこともあったんですが、“ちょっと絵を見せるだけでもいいし、書いてある通りに読まなくても大丈夫ですよ”とお伝えしたら、それ位なら自分でもできるとおっしゃって。絵本に対して構えている方は、意外にいらっしゃるんです」
「子どもとの関係がぎこちない様子のお母さんに、”お膝に赤ちゃんを乗せて、絵本のページをめくってあげるだけでもいいんですよ”とお話ししたら、涙がとめどなく溢れてこられたこともありました」
赤ちゃんの月齢は一緒でも親子の置かれている状況はさまざまです。転勤で伊万里に引っ越し、知らない土地での子育てに不安を感じている方もいれば、大きな心配事もなくゆったり構えている方もいるそうです。
そんな親子一組一組に寄り添った対応ができるよう、フレンドリーな人には親しげに、緊張している人には柔らかな声かけをするなど、その様子や雰囲気に合わせながら接しているといいます。
「最初はギスギスしていた保護者の表情がほころんでいったり、赤ちゃんが絵本に喜ぶ姿に“こんなうちの子、初めて見た!”と驚かれたりする瞬間に立ち会えることに、ボランティアとして幸せを感じています」
コロナ禍の影響でボランティア活動が休止中のため、今は少し寂しい思いをされているそうですが、伊万里市の親子を見つめるあたたかなまなざしが印象的でした。