2021年秋、中学校の家庭科の授業に、当NPOの職員がゲストティーチャーとして参加し、ブックスタートについて紹介しました。授業の内容や先生へのインタビューは、ニュースレター2022年春号で詳しくお伝えしていますので、ぜひご覧ください。
今回の読みものでは、ニュースレターでお伝えしきれなかった中学生の感想と、授業での学びが学校の枠を越えて地域に広がっていった様子をご紹介します。
「読む時間そのものを、好きになってもらうことが大切なんだ」
当NPOが伺ったのは、東京学芸大学附属世田谷中学校。
授業の数日後、先生が中学生の感想を一部送ってくださいました。そこには、ブックスタートという活動を知り、学んだことや考えたことがびっしり書かれていました。
一部ご紹介します。
・絵本の力は、その内容に留まらず、親子の愛情を育むことにもあると分かりました
・大人にとっても、安心や、子どもとの大切なコミュニケーションの時間になるということにとても共感しました
・大好きな人が語りかけてくれるという楽しさを感じてもらえるように、私も安心して感情を委ねてもらえる大人になりたいです
・シェアブックス(share books)の精神に感動しました。本が好き、というよりも、まずは読む時間そのものを好きになってもらうことが大切だと思いました
絵本のひとときは、親子が絵本を介してゆっくり共に過ごし、心を通わせ合う時間ーー。
自治体がブックスタートを通じて親子に伝えているメッセージは、未来を担う中学生にも様々な気づきをもたらしたようです。
絵本のポップを作り地域の図書館や書店で展示
家庭科の授業では、幼児の発達に合った絵本の選書も行われました。
その学びは、国語科や美術科にも広がり、自分が選んだ絵本を紹介するポップ作りへと発展しました。
完成した作品は、世田谷区立深沢図書館や地元の絵本専門店などで展示されたそうです。
学校司書さんからその写真が届きました。
<世田谷区立深沢図書館での展示>
図書館内5か所にポップを展示。生徒全員分、100以上の作品を、順次公開しています。1階のキャビネット近くに飾ったポップは特に利用者の目に留まる機会が多く、その影響で絵本の予約が増えたとのこと。図書館は、今後も学校とのこうした連携を考えていきたいということでした。
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<書店での展示>
「えほんのみせ ぱっきゃまらーど♪」では、ポップの展示に加え、お客さんによる投票イベントも行われました。地域の子どもたちや、絵本作家、出版社の方などのほか、学校の先生や中学生も展示の様子を見に来られたと話すのは、店主の山本陽子さん。
「生徒さんは、自分の描いたポップを見てお客さんが絵本を買ってくれたことで、学びがこんなふうに活かされているんだなと、喜んでいる様子でした。実は、他の高校からもポップ展示をしたいと問い合わせが届いています。こんなふうに学校と地域が連携する取り組みが広がっていくのがとても嬉しいです」
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中学生の学びが、地域の協力によって見える形で広がっていくことで、子どもたちは社会への関心を育み、地域もまた子どもの学びに目を向ける機会になっているのかもしれません。
それは、ブックスタートを通して親子が地域とつながることと、似ているように感じます。
授業や地域との連携の様子は「授業に役立つ学校図書館活用データベース-東京学芸大学」でも紹介されています。ぜひご覧ください。