各地のブックスタートのやり方を発表する、事例紹介プログラム。
報告の2回目は、2019年6月4日鹿児島会場より、宮崎県小林市の取り組みについてお伝えします。
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小林市からは、市立図書館の窪谷江利子さんと、ブックスタート・ボランティアの坂下実千代さんが登壇。
読書推進の枠組みを越え、市全体で子育てをしていこうという思いを具現化する事業として、ブックスタートに取り組んでいる様子をお話しくださいました。
会場からの質問に答える窪谷さんと坂下さん
市全体で子育てを見守りたい
小林市では、3か月児健診でブックスタートを実施しています。
事務局である図書館だけが取り組むのではなく、健康推進課と連携することで、実施会場の手配や健診での事業説明の時間を確保。ボランティアは、絵本の読みきかせのほか、子育ての先輩として保護者の気持ちに寄り添った対応をしています。様々な立場の人と連携する背景には、市全体で子育てを見守り、子どもの笑顔があふれるまちにしたいという思いがあるからです。
親子に手渡す絵本を選ぶ「ブックスタート選書委員会」
小林市では、「ブックスタート選書委員会」を組織し、親子に手渡す絵本を選書。
図書館職員やボランティアなどの事業関係者だけでなく、保育士や幼稚園教諭、幼児を持つ保護者にも委員になってもらい、普段から子どもと関わっている方からの意見を取り入れるようにしています。年3回行われる選書委員会では、絵本の配付状況やアンケート結果を共有するほか、ブックスタート会場の見学も行います。
このように、事業の現状を全員が把握した上で、候補の絵本を読みあいながら選書しています。
家庭文庫を会場としたフォローアップ事業
ブックスタートのフォローアップ事業である「絵本であそぼ0.1.2」を、家庭文庫を会場として行っています。
事業を共催する図書館職員も文庫に来て、絵本の読みきかせや手遊び、わらべうたなどを参加者と楽しみます。また、参加者どうしがお茶を飲みながらくつろげる時間も設けています。
発表スライドより。個人宅を開放した文庫は居心地もよく、多くの親子が集まります
赤ちゃんとどう接したらいいかわからないという保護者も、絵本を開けば自然と優しい言葉をかけることができます。
そうした時間は、赤ちゃんにとっても心地よいものになるはず。絵本というあたたかな贈り物を多くの親子に届けるため、これからも多くの人と協力しながら事業を進めていきたいと話してくださいました。
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開催報告(3)でご紹介した霧島市、そして小林市の事例発表後には、参加者から事業の運営方法についてなど具体的な質問も挙がりました。実践で得られた経験やノウハウはもちろん、ブックスタートに関わる人たちどうしで思いを共有できたことが、この研修会の大きな収穫となりました。
↑ 鹿児島会場の参加者の皆さん
※次回は広島会場で行われた、広島県尾道市の事例発表の様子をご報告します。
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▼開催報告「ブックスタート研修会2019」その他の回を読む
1. 講演 スギヤマカナヨさん
2. ワークショップ
3. 事例紹介 鹿児島県霧島市
4. 事例紹介 宮崎県小林市 ※本稿
5. 事例紹介 広島県尾道市
6. 事例紹介 広島県府中市