連載第1回でご紹介したシンポジウム「語り合おう!読書バリアフリーのこれから」の会場では、様々なバリアフリー図書が展示され、実際に手に取ることができました。
点字つきさわる絵本、布の絵本、拡大写本、LLブック、マルチメディアDAISY、録音図書などです。
このコーナーに、ブックスタートで取り組んでいるバリアフリーとして、資料を展示させていただきました。
▼点字/拡大文字対応 ブックスタート趣旨説明資料
▼点字/拡大文字版付きアドバイス ブックレット「赤ちゃんといっしょに はじめまして 絵本」
これらの資料は、ブックスタート事業の趣旨や、赤ちゃんと絵本をひらく時間の楽しさを、点字と拡大文字で表記したもので、NPOブックスタートから自治体に提供しています。
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実は、この展示にあたり、展示物を説明する資料を点字で作成しました。これまで、点字を目で見て読みを確認することは何度かあったのですが、点訳はまったくの初めて。200字ちょっとの文章ですが、分かち書き※をして、念のため、どのように打つのか下書きをして、実際に点字を打って……。これが思ったよりも大変でした。
※分かち書き:点字を読みやすくするために、文節の間に区切りとしての空白を挿入すること
▼点字器を使い、点字用紙の裏に右側から点字を打ちます
※点字では「こんにちは」を「こんにちわ」と表記します。
実際にやってみて、時間も根気も必要な、大変な作業だということがよくわかりました。
NPOブックスタートでは、視覚に障害のある方のニーズに合わせ、ブックスタートで手渡される絵本を「てんやく絵本」に交換する体制を整えています。この「てんやく絵本」の製作にご協力いただいているのは「てんやく絵本 ふれあい文庫」です。ふれあい文庫では、こうした点訳に加え、絵にもシートを貼って、絵の形がわかるようにしています。今回、自分で点訳をやってみて、改めてふれあい文庫の皆さんへの感謝と尊敬の思いでいっぱいになりました。
連載第3回は、てんやく絵本ふれあい文庫代表の岩田美津子さんからお聞きしたお話を中心にご紹介します。
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▼連載「障害のある方への対応を考えるために」その他の回を読む
1. 読書バリアフリー(1)
2. 読書バリアフリー(2)※本稿
3. 「てんやく絵本」との出合い
4. 障害ってどういうことだろう?
5. 障害のある赤ちゃんや保護者について
6. 目が見えない、見えにくい赤ちゃんと絵本(1)
7. 目が見えない、見えにくい赤ちゃんと絵本(2)
8. 聞こえない、聞こえにくい赤ちゃんと絵本
9. 聞こえない、聞こえにくい保護者と絵本
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*「障害」の表記について
当NPOでは、「障害」の原因が「個人が持つ心身機能など=個人モデル/医学モデル」ではなく、機能障害に対応できない「社会の側にある=社会モデル」という「障害者権利条約」の考え方に基づき、「障害」及び「障害のある」と表記しています。