2016年3月12日(土)大阪市にて、NPOブックスタート主催「子ども・社会を考える」講演会シリーズの第3回『社会で子どもをはぐくむ』を開催しました。
講師は、武蔵大学人文学部教授(肩書は当時)で臨床心理士の武田信子さん。当日は関西方面を中心に、地域で読みきかせや子育て支援、母子保健等に携わっている行政職員や市民ボランティア、子育て中の保護者の方などがご参加くださいました。
参加者がグループになり経験を語り合う、ワークの時間を取り入れ進められた今回の講演。はじめに、参加者どうしが自己紹介を兼ねて「子ども時代、すごく楽しかったこと」をそれぞれ紹介しあいました。
例えば……、とても急な坂を、猛スピードで駆け下りて遊んだこと。お寺の住職の目を盗んで、お墓からお墓に飛び移って遊んだこと。多くの人にとって子ども時代のとびきり楽しい思い出は、実は、ハラハラドキドキするような、ちょっと危険を伴うもの。そして、そこに「大人」は存在していないことに気付きます。
「では、私たちが子ども時代に心の底から楽しいと感じたようなことを、子どもたちは今、十分に体験できているでしょうか?」
こうした問いかけから始まった今回のお話。すべての子どもたちがwell-being(ウェルビーイング:子どもの権利擁護や自己実現が確立された状態)であるために、私たちには何ができるのか、本当に必要なことは何なのかを考える機会となりました。
講演の最後に、武田さんは「希望」という言葉を掲げました。
私たち大人が希望を持って社会を変えていかねば、子どもたちも希望を持てません。まずは大人が希望をもつこと。その上で今、信じていることに一度疑いをもち、視点を変えて、社会を、そして子どもたちを見てみる。そうしたことの大切さを教えていただきました。
本講演会の講演録を刊行しています。詳しくはこちらからどうぞ。