2016年7月9日(土)、東京大学伊藤謝恩ホールにて、「子ども・社会を考える」講演会シリーズ第4回『すべての赤ちゃんに絵本を~英国のブックスタートが世界に広がるまで』を開催しました。
主催:NPOブックスタート 後援:文部科学省/厚生労働省/国際こども図書館/ブリティッシュ・カウンシル/子どもの読書推進会議
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当日は全国から331名の方がご参加くださいました。
講師は、1992年にブックスタートを発案した、絵本コンサルタントのウェンディ・クーリングさん。講演に続いて、クーリングさんと佐々木宏子さん(鳴門教育大学名誉教授・発達心理学)との対談も行いました。
講演『すべての赤ちゃんに絵本を~英国の「ブックスタート」が世界に広がるまで~』
小学校の先生やイギリスのブックスタート推進団体などを経て、フリーの絵本コンサルタントとして、イギリス国内外で子どもの読書推進の活動の関わるクーリングさん。赤ちゃんや子どもたちと本(絵本)をつなぐときには、一人ひとりの「個性」と「自由」を尊重することをとても大切にしているそうです。そして本(絵本)を楽しむときには、「心」を使って気持ちを動かすことで、本がもたらす“魔法”を体験することができるとお話しされました。
講演の終わりに、日本のブックスタートへメッセージをいただきました。
「日本は、準備のできた自治体から活動を始めるという方法をとっていますね。そして、それぞれの赤ちゃんに丁寧に向き合いながら絵本を手渡しています。本当に素晴らしいモデルです。これからも、ブックスタートが日本中に広がっていきますように。」
対談『赤ちゃんと絵本』
ウェンディ・クーリングさん、佐々木宏子さん(鳴門教育大学名誉教授)
対談では、クーリングさんと佐々木さんが、イギリスと日本で親しまれている赤ちゃん絵本を3冊ずつ紹介。クーリングさんによると、『もこ もこもこ』(作:谷川俊太郎/絵:元永定正/文研出版)のようなオノマトペと絵で構成されている絵本は、イギリスにはあまりないそうです。佐々木さんからは、人間の声と言葉の間にあると言われる日本語の「オノマトペ」は、非常に豊かななものであること、また翻訳が難しいことについて説明がありました。
そして、赤ちゃんと絵本のひとときを分かち合う(shareする )ことについて、クーリングさんからは、「リラックスして気持ちを込め、大人自らが楽しむこと」「絵本選ぶときには、大人も喜び楽しく読めるという視点も大切」という考えが示されました。
また佐々木さんからは、絵本をシェアすることで、読み手がそれまで気づかなかった赤ちゃんの個性を発見することがあり、それが喜びになること、絵本を楽しむときには「あなたを知りたい、あなたとわかり合いたい」という心のこもった思いで赤ちゃんと向き合うと、良い時間が持てるとお話がありました。
このほか、ロビーには展示コーナーも。日本とイギリスの赤ちゃん絵本やブックスタートでの親子の写真を展示し、多くの参加者で賑わいました。
本講演会の講演録を刊行しています。詳しくはこちらからどうぞ。